SES(システムエンジニアリングサービス)とは? よく「やめとけ」と言われているけど本当に働くべきではないのか実態を調べてみた。

SES(システムエンジニアリングサービス)とは? よく「やめとけ」と言われているけど本当に働くべきではないのか実態を調べてみた。

 常に人材不足にあえぐIT業界において、足りないリソースを短期間で埋めてくれるSES(システムエンジニアリングサービス)は頻繁に利用されているサービスの一つです。とはいえ、ネットで「SES」と検索するとサジェストワードに「やめとけ」「闇」などのネガティブなキーワードが表示されることも多く、あまり良い印象を持っていない方も多いのではないでしょうか? 今回はSESで働くメリットや知っておきたい注意点について詳しく説明していこうと思います。

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SESとは?

SESとは?

 SES(システムエンジニアリングサービス)とは、一般的にエンジニアの労働力を必要とする企業に対して労働力を提供する委託契約のことを指します。噛み砕いていうと、企業内でリソースが不足しているシステムやソフトウェアの開発・保守運用の業務を手伝ってくれるエンジニアを外部の企業から派遣してもらう、といったところでしょうか。

SESと派遣の違い

 SESと派遣の最大の違いは、指揮命令系統(エンジニアに対して指示や命令を行える人)の違いにあります。このほかにも雇用形態・契約形態の違いがありますが、こちらについては別に機会にご説明したいと思います。

<SESで仕事をするエンジニアの場合>
◆作業指示を行える人:
クライアントから案件を受注したSES事業を展開する企業

<派遣で仕事をするエンジニアの場合>
◆作業指示を行える人:
派遣先のクライアント企業

SESで働くメリット

SESで働くメリット

残業時間が少なめで、自分の時間を確保できる

 一般的にSESの契約は、報酬額と精算幅と呼ばれる稼働時間の2つで行われます。精算幅とは「約束した報酬を全額支払うにあたって、毎月◯時間~◯時間は働いてくださいね」という基準値で、上限に設定された稼働時間を超過した場合、発注元の企業は追加で報酬を支払う必要があります。よほど潤沢に資金がある企業でもない限り、追加で費用が発生しないよう精算幅の間でエンジニアを稼働させようとするため、結果的に残業が少なくなる傾向があります。

さまざまな現場を経験できるのでスキルやノウハウを吸収しやすい

 SESで働く場合、数ヶ月~半年程度の単位で定期的に参画する現場が変わることがあります。そのため、それぞれ現場で使用されている技術を実務で使いながら学べることはもちろん、各企業で採用されている開発手法やマネジメントのノウハウの吸収を通じてスキルアップを図ることが可能です。自社開発を手掛ける会社で働いているエンジニアの場合は、その会社で採用されている開発手法やマネジメントのノウハウにしか触れることができませんので、この点はSESで働く最大のメリットとも言えるでしょう。

常駐先(参画先)企業の社員との人脈を作ることができる

 さまざまな現場で働くことによるメリットは、スキルやノウハウの吸収だけではありません。常駐先(参画先)の企業にいる社員との人脈が作れることも大きなメリットだと言えます。もしあなたが現場で優秀な実績を残していれば、その会社から引き抜きの声がかかることも少なくないでしょうし、将来あなたが起業した時には、一緒に仕事をしていた方と良好な関係を築けていれば仕事を回してもらえることもあるでしょう。

なぜSESは「やめとけ」と言われるのか?

なぜSESは「やめとけ」と言われるのか?

SES企業の正社員として働く場合は収入が低め

 さきほども説明しましたが、SES企業の正社員として働く場合は給料が低くなりがちです。その理由としては大きく2つあります。

<商流の下流で案件を受注している場合>
 巨大企業が発注する大規模な開発案件の場合、発注元の企業から直接受注した企業(元請け企業)から下請け企業発注、さらにその企業から別の下請け企業に…というような多重下請け構造になりがちです。発注元の企業から支払われる報酬は高額だったとしても、商流が深くなる(間に挟まる下請け企業が増える)ごとに手数料が発生して、どんどん報酬額が目減りしてしまいます。

<新卒など未経験で働く場合>
 特に新卒など全くの未経験でSES企業に正社員として就職した場合は、あなたを現場で稼働させるにあたって最初は低い単価を設定せざるを得ません。また現場に参画できるようになるまでの研修期間に発生した給料や社会保険の会社負担分などを考慮すると、企業側としては給料を払いたくても払えないというのが現実です。さまざまな現場での経験を通じて、スキルアップを図ることで徐々に給料もアップしていくでしょうし、将来的にはフリーランスエンジニアとして独立して高い報酬を得ることも可能になります。

常駐する企業によってはブラックなところも

 記載された条件を見る限りでは好条件に思える案件でも、実際に参画してみると現場の人間関係が悪い、クライアントにコンプライアンス遵守の意識が欠けている、納期が迫っていてデスマーチ状態だったなどのいわゆる「ハズレプロジェクト」に当たることがあります。

受け身な人はスキルアップしにくい

 少し前にSESで働くメリットとして「さまざまな現場を経験できるのでスキルやノウハウを吸収しやすい」という点を挙げましたが、このメリットを受けるためには、自分で吸収したスキルやノウハウをきちんとアウトプットできる積極的がある人に限ります。SESでは、言われたことを言われた通りにこなす力が求められるのはもちろんですが、業務を通じて得た気づきや学びを将来の業務に活かすよう、積極的に行動することが大切です。

SESで働くときに知っておきたい注意点

SESで働くときに知っておきたい注意点

 ここからはSESで働くにあたって是非知っておいていただきたいポイントについてご説明していきます。もしあなたが環境の悪い現場に参画してしまった時などに、自分で自分を守ることができる大切な知識にもなりますので、ぜひ覚えておいてください。なお、本項目の内容は、SESの契約が一般的な「履行割合型の準委任契約」で締結されている場合のお話となります。

作業指示・指揮命令権はSES事業者側にある

 SESで現場に参画した場合、あなたに対して作業指示を行えるのは「クライアントから案件を受注したSES事業を展開する企業」となります。もし、クライアントがあなたに対して作業指示を行っていることが発覚した場合、偽装請負として案件を受注した企業は社名の公表や罰金などのペナルティを受けることがあります。

報酬は労働時間によって支払われる

 SESにおける報酬は、成果ではなくて提供した労働力に対して支払われます。もし決められた労働時間内にクライアントの求める成果を出すことが出来なかったとしても、それを理由に報酬を減額されることはありません。もちろんクライアントの期待する働きができなければ、契約更新の際に契約を打ち切られてしまうので、与えられた仕事は全力で取り組んで良い成果を出すよう努力しなくてはいけないのは当然のことです。

成果物に対する責任はない

 履行割合型の準委任契約では、商品や成果に欠陥や品質不良があったとしてもその責任を負うことはないと定められています。そのため、SESの業務を通じて開発したソフトウェアやシステムにバグがあったとしても責任を追求されることはありません。ただし、意図的に欠陥のあるプログラムを作成した場合や誰の目から見ても欠陥品と思われる成果物を作成した場合などはその限りではなくなります。プロフェッショナルとしての意識を強く持ち、最善の結果を得られるよう努力を行いながら業務にあたることが求められます。

まとめ

 今回はSESで働くメリットや知っておきたい注意点を中心に見ていきました。一般的には「給料が安い」とされているSESですが、さまざまな現場を経験できるため自分の意識次第ではしっかりとスキルアップに繋げることもできることがおわかりいただけたのではないかと思います。また、一般的に激務と言われることが多いエンジニア職の中では比較的残業が少なく、ワークライフバランスに優れた働き方であるともいえるしょう。空いた時間をエンジニアとしての価値を向上させるための勉強や人脈作りに充てることで、さらなるキャリアップも十分に目指せます。
 もしSESで働くあなたが、現状の待遇対して不満があり、フリーランスエンジニアとして独立することをお考えでしたら、ぜひこのブログを編集しているJoBeetにご相談ください。経験豊富なコンサルタントがあなたのスキルと希望にマッチした案件をご紹介させていただきます。

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