フリーランスエンジニアになるには?独立準備とタイミングを解説

フリーランスエンジニアになるには?独立準備とタイミングを解説

 会社に勤めているエンジニアなら会社を退職すれば、明日からフリーランスエンジニアになることができます。ですが、安定して案件を受注できるか、生活できるだけの報酬を手にすることができるかとなると話は別です。今回は、フリーランスエンジニアとして独立するために必要な準備とタイミングはもちろん、メリット・デメリットや独立を希望される方からよく聞かれる質問にもお答えしていこうと思います。

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もくじ

フリーランスエンジニアとはどんな働き方? 年収は?

フリーランスエンジニアとはどんな働き方か?

一言でいえば「個人事業主」のエンジニア

 フリーランスエンジニアとは、会社組織に属さずに個人事業主としてエンジニア活動を行っている人を指します。働き方は大きく分類して、毎日クライアント企業に出勤して社員のエンジニアと一緒に仕事を行う「常駐型(リモートでの対応を含みます)」と、クライアント企業から開発の案件を受託して自宅で作業を行う「在宅型」に分けられます。

平均年収はどれくらい?

 東京などの首都圏は比較的高めなど働く地域によっても差がありますが、一般的にフリーランスエンジニアの年収は700~800万円程度と言われています。ただしフリーランスエンジニアの年収はその人のスキルや経験によって大きなが差があるのが特徴で、下は100万円未満の方から、上は2,000万円以上となっています。まさに実力が年収にそのまま反映される働き方であるといえるでしょう。

働く場所や時間は?

 フリーランスエンジニアの働く場所と時間は、受注する案件によって大きく異なります。繰り返しになりますが、クライアント企業に常駐して働く場合、常駐先である企業の営業時間に併せて就業することになります。最近はリモートワークの普及により自宅から対応できるケースも増えてきています。一方、クライアント企業から開発案件を受託する場合は、基本的に自宅もしくは仕事用の事務所で開発作業を行います。こちらは指定の納品日までに成果物を納品すればよいため、仕事をする時間や場所の制約を受けることはなくいわゆる「フリーランスらしい働き方」が可能です。

独立するのは何歳くらいがおすすめ?

独立するのは何歳くらいがおすすめ?

おすすめは20代後半~30代

 一番おすすめなのが、会社員エンジニアとして数年以上の実務経験がある20代後半~30代です。この年代のフリーランスエンジニアは、クライアント企業からの需要の高く、案件獲得と単価感のバランスが良いのが特徴です。例えば同世代の会社員エンジニアの場合、年収が450万円~550万円前後であることが多いと思いますが、フリーランスエンジニアとして独立することで700万円~800万円の年収を期待することができます。

経験と実績があれば40代~50代でも

 40代~50代の場合は、若い世代のフリーランスエンジニアに比べて、より高いスキルと経験が求められます。そのため、現場の最前線で自ら手を動かすよりも、他のエンジニアたちをマネジメントする能力を身に付けていなければ年齢に見合った高い報酬を手にすることは難しいでしょう。特に今後は、少子化による人口減とともに、IT人材の不足も叫ばれていますので、フリーランスエンジニアという働き方を選択した方でも実力次第で活躍することができそうです。

60代以上は厳しい!?

 多くの会社員が定年を迎える60代でフリーランスエンジニアとして活躍できる方は、ほんの一握りです。多くの方は、コンサルタントとしての高いマネジメント能力、もしくは顧問として様々な企業の経営層に幅広い人脈を持っていることが多い印象があります。一方で、若い方が習得することが少なくなったCOBOLなどのレガシーな開発言語のスペシャリストとして活躍している方もいるので、保有スキル次第では60代以降もフリーランスエンジニアとして活動を継続することは可能であると言えます。

フリーランスエンジニアとして独立するメリット

フリーランスエンジニアとして独立するメリット

高確率で年収がアップする

 前提条件として「ある程度のスキルを保有していること」という条件がつきますが、フリーランスエンジニアして独立するメリットの中で一番大きいのは「高確率で年収がアップする」という点です。案件ナビが2021年に公開した記事(フリーランスエンジニアの実態|正社員との年収の差は?)によれば、20代正社員エンジニアの平均年収は450万円なのに対して、フリーランスエンジニアは650万円と約1.44倍もの収入に期待が持てます。突出した実力をお持ちの方なら、20代で年収1,000万円の大台に乗る方も少なくないので、若いうちから高額な年収を手にしたいと考えている方にとって「フリーランスエンジニアという語らき方」は非常に魅力的なものといえるでしょう。

自分のやりたい仕事を選ぶことができる

 会社員エンジニアの場合、所属している会社の都合で自分の希望とは異なるプロジェクトにアサインされることも少なくありません。また、そのプロジェクトが長期間に渡ることでモチベーションを失ってしまう方もいるようです。一方、フリーランスエンジニアは受注する仕事は自分で選ぶことができるので、自分がやりたくない仕事を長期に渡って嫌々やる…というケースに遭遇しにくくなります。

人間関係のストレスが少なめ

 いま勤めている会社の人間関係に大きなストレスを感じている方は、フリーランスエンジニアとして独立することでお悩みを解消できる可能性があります。会社員エンジニアの場合、同じプロジェクトにアサインされている上司や同僚との相性が悪くて自分のパフォーマンスを十分に発揮できないという話をよく伺いますが、フリーランスエンジニアならば相性の悪い開発案件を受注してしまっても契約期間が終了してしまえば、そこで縁が切れることになり、長期間に渡って人間関係に悩み続ける必要がなくなります。

フリーランスエンジニアとして独立するデメリット

フリーランスエンジニアとして独立するデメリット

案件獲得のための営業や雑務が必須

 会社員エンジニアの場合は、案件の獲得は営業部門、請求書処理などは経理部門が…というように仕事が分業されており、エンジニアとしての仕事以外の雑務に対応する必要は基本的にありません。しかしフリーランスエンジニアの場合は、営業や経理処理を代行してくれるスタッフがいませんので、これらの雑務も全て自分でこなす必要があります。最近は雑務代行や支援のサービスがありますが、これらを利用する際には当然お金が発生しますので、独立したての頃は慎重に利用の可否を判断したいところです。

収入が安定しにくい

 フリーランスエンジニアは高額な報酬を手にすることができる魅力的な働き方ですが、収入が安定しにくいというデメリットもあります。例えば、いま受注している案件と次の案件の間に期間が空いてしまう場合当然その間は無収入となりますし、また数ヶ月に渡って作業を行うことが必要な長期案件を受注してしまった場合も契約次第では納品するまでの間、一切報酬が支払われないこともあります。1年間という長いスパンで見れば、確かに会社員エンジニアよりも高い年収を手にできる可能性は高いですが、1~2ヶ月の短期間で見ると預金残高が大幅に減って精神的に不安になる方もいるようです。

社会保険などの福利厚生がほぼない

 会社員エンジニアは、健康保険や厚生年金などの社会保険、さらには各種カフェテリアプランなど手厚い福利厚生が提供されています。特に扶養対象となる家族がいる場合は、あなた1人分の保険料で扶養家族分の社会保険が提供されるのは大きなメリットです。一方でフリーランスエンジニアは、これらの福利厚生が一切ない上に、健康保険や年金などの保険料を(扶養家族分を含めて)全て自分で全額負担しなくてはいけません。独立により年収はアップしたが、社会保険の負担を考慮したら結局マイナス…というようなことがないように事前確認をしっかりとしておくべきでしょう。

フリーランスエンジニアになるための流れを公開!

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会社を退職~挨拶回り(独立までの期間)

 フリーランスエンジニアとして独立することを決めたら、まずは所属している会社の上長もしくは人事に退職の意向を伝えます。法律上は2週間前に退職の意向を伝えれば良いことになっていますが、現在就業中の会社で規定や現在担当しているいる仕事の引き継ぎ期間、有給は付与されている場合はその消化期間も考慮して、最低でも希望退職日の2~3ヶ月前には伝えることをおすすめします。

 退職日が決定したら、人事担当者の案内に沿って退職手続き仕事の引き継ぎを行うほか、社内・社外問わずお世話になった方への挨拶回りをしておきましょう。円満に退職しておくことで、フリーランスエンジニアとして独立した後で、あなたに仕事を回してもらえる可能性も出てきます。

開業届けなどの事務手続き(独立から1ヶ月目)

 会社を退職したら、開業から1ヶ月以内に最寄りの税務署に開業届を提出します。提出しなくても罰則があるわけではありませんが、提出しておくことで節税上大きな優遇を受けられる青色申告が利用できるようになるなど、多くのメリットを受けることができるのでできるだけ提出することをおすすめします。また、フリーランスエンジニアとしての活動で発生した報酬や経費をわかりやすく管理するために、屋号名(フリーランスエンジニアとしての活動名、法人の会社名に相当するもの)での銀行通帳を作っておくと良いでしょう。

 このほか退職後2週間以内に住んでいる市区町村の役所に行き、国民健康保険や国民年金といった各種社会保険への加入手続きも忘れずに行いましょう。こちらは期限内に手続きをしないと、未加入期間に受診した病院の費用に保険が適用されなくなる上、その期間の保険料も後から請求されることになるので、必ず行うようにしてください。

→関連記事:
開業届はいつ提出すればいいの?節税にも役立つフリーランスエンジニアのための開業届&青色申告承認申請ガイド

案件獲得のための営業~受注(独立から1~2ヶ月目)

 各種手続きと平行して、案件獲得のための営業活動を開始します。

 円満に会社を退職していて前職と良い関係を継続できている上司がいるのであれば会社員時代に担当していた仕事を業務委託として受注できないか聞いてみたり、知人や友人から仕事を紹介してもらえないか聞いてみるのも良いでしょう。これと同時にフリーランスエンジニア向けに案件を紹介してくれるエージェントに登録するのも手です。エージェントは個人では取引をするのが難しい大企業や、エージェントが独自のパイプで獲得してきた独占案件などを保有していますので、自分の希望にあった働き方や報酬に合った案件を選びましょう。

開発作業~納品(独立から2~3ヶ月目)

 案件を受注したら、契約を取り交わして実際の作業に入ります。エージェントを介して案件を受注する場合は、エージェント企業側で契約手続きなどに関するサポートを受けることができますが、個人で受注する場合は契約に関わる各種手続きは自分で対応します。

 受託案件の場合は、クライアントから発注された内容に沿って作業を行い、決められた日までに成果物を納品します。一方、クライアント企業に常駐して仕事を行う場合は、会社員時代と同じように毎日会社に行き(もしくはリモートで)作業をします。 

請求書発行~報酬受取(独立から3~4ヶ月目)

 成果物を納品したら(もしくは決められた日数の勤務を行ったら)、クライアントの指定する締め日までに請求書を発行して送付します。指定の締め日までに送付できないと、支払いタイミングが1ヶ月遅れることもありますので遅れないよう対応しましょう。なお請求書を紙で送る必要のあるクライアントと取引する場合、2021年10月1日から郵政法が改正されて週末に投函した郵便物の配達日が1日遅くなっているので注意が必要です。なおエージェント経由で案件を受注している場合は、請求書の発行をエージェント企業側で代行してくれることが多いようです。請求書発行後、クライアント企業の支払い日にあなたが指定する口座へ報酬が振り込まれます。

→関連記事:
郵政法改正で郵便物の到着が遅くなる!? 請求書などを郵送しているフリーランスエンジニアは要注意!

独立に関する”よくある質問”

独立に関する”よくある質問”

フリーランスエンジニアに向いている人はどんな人?

 フリーランスエンジニアとして独立して成功する人に共通している特徴としては下記のような点があります。

  • 自己管理能力の高い方
  • コミュニケーション能力の高い方
  • 成長意欲があって変化を楽しめる方

 まずは「自己管理能力の高さ」ですが、受注した案件を約束の納期までに完成させる責任感はもちろん、普段の体調管理やモチベーション管理もフリーランスエンジニアとして成功する重要な能力となります。また「コミュニケーション能力の高さ」も欠かすことが出来ません。どんなに高い技術力を持っていたとしても、大規模な開発プロジェクトにおいては自分ひとりで全てを開発できることはありません。他人とコミュニケーションを取りながらチーム全体で仕事を完遂させる能力が求められます。最後にポイントは「成長意欲があって変化を楽しめる方」です。フリーランスエンジニアは、常にスキルアップを図ることができなければ継続して案件を受注できません。過去に習得した技術に固執するのではなく、常に最新の技術動向を注視しながら時代の変化に対応し続けることで、長期間に渡って活躍できる人材になることができます。

フリーランスエンジニアから会社員に戻れるか?

 年齢次第ではありますが、会社員に戻ることも可能です。ただし、フリーランスエンジニアとして活動を通じて、どのようなことを学んだか、なぜ会社員に戻りたいのか、などをしっかりと準備しておくことが大切です。「年収がアップすると聞いたので軽い気持ちでフリーランスエンジニアとして独立したが、上手くいかなかったので会社員に戻りたい」という理由では、どれだけあなたが技術的に優秀なエンジニアだったとしても採用する企業としても内定を出すのに躊躇してしまうのではないでしょうか。

エージェントに登録しても案件が紹介されないことがあるって本当?

 未経験もしくは実務経験が1年未満など、経験が非常に浅い状態でフリーランスエージェントに登録すると紹介される案件がほとんどない、もしくは単価が非常に安いことがあります。これは、発注元の企業がフリーランスエージェントに求めているものが即戦力であり、エンジニアとしてまだ独り立ちできていない方を育てるつもりがないためです。まずは現在勤めている企業で最低での2~3年の実務経験を積んで、実力を付けてから再度登録することをおすすめします。

まとめ

 今回はフリーランスエンジニアとして独立を検討されている方向けに、その準備やタイミング、メリット・デメリットについて見ていきました。独立するタイミングとしては20代後半~30代がベストですが、スキル次第では40代~50代でも十分に活躍できることがわかりました。また独立するにあたって最も重要なのが、案件を受注できるか否かです。特に独立したての頃は少しでも選択肢を広げるために、これまで勤めていた会社や取引先、知人・友人から案件を紹介してもらえないか相談するのはもちろん、フリーランスエンジニア向けのエージェントサービスを利用することを検討しても良いでしょう。実際に独立するにあたっては、メリット・デメリットを十分に検討した上で決断することをおすすめします。

平均単価約75万円のJoBeet。無料で高額案件の紹介してもらう

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