フリーランスと個人事業主の違いとは?~それぞれのメリット・デメリットも解説

フリーランスと個人事業主の違いとは?~それぞれのメリット・デメリットも解説

 会社に属さずに働く皆さんに「ご職業は?」と聞くと、「フリーランスです」や「個人事業主です」という回答が返ってくることが多いですが、皆さんは「フリーランス」と「個人事業主」の明確な違いについて説明できますか? 今回はよく混同されやすい「フリーランス」と「個人事業主」の違いについてご説明していきます。

フリーランスと個人事業主の違いとは? 

フリーランスと個人事業主の違いとは?

「フリーランス」は働き方を表す言葉

 フリーランスとは、複数の社員がいる会社(法人)や団体に所属せずに仕事を行う「働き方」そのものを表す言葉です。一般的な会社員が企業と雇用契約を締結して働くのに対して、フリーランスは個人で特定の企業と雇用契約を結ぶことなく、様々な企業やクライアントの仕事を受注して働きます。つまり「個人事業主」や「(社長1人だけの)法人」として働く場合でも、その働き方がフリーランス的なものであればフリーランスとして分類されることになり、活動するにあたって公的期間の認定を受ける必要はありません。

「個人事業主」は税制上の概念

 個人事業主とは、税制(法律)上の区分を表す言葉です。フリーランスは働き方そのものを表す言葉なので、フリーランスを名乗るのにあたっては特に手続きは必要ありませんが、個人事業主になるにあたっては最寄りの税務署に開業届を提出する必要があります。また個人事業主として活動を行うと、税制面で優遇される青色申告が確定申告時に利用することができるほか、社会的信用を得やすくなる屋号での銀行口座開設など様々なメリットが受けられるようになります。

フリーランスとして活動するメリット

フリーランスとして活動するメリット

自由な働き方ができる

 会社員として働く場合は毎日決まった時間に出社をして定時まで働くことが求められますが、フリーランスとして活動する場合は時間や場所にとらわれない自由な働き方をすることができるようになります。ただし、クライアントから仕事を受注して働く場合は、クライアントからの要望に沿う必要があるため、完全に自由な働き方ができるわけではないことに注意が必要です。

能力次第で収入が増える

 フリーランスは自分の能力価値をそのままクライアントに評価してもらうことができるので、高い能力がある方は会社員として働くのに比べて収入が増えることが多いです。特に給与の安い20代や30代前半までの方の場合は、フリーランスとして独立することで会社員時代の1.5倍~2倍以上の年収を手にしている方も少なくありません。

人脈が増える

 仕事を通じて多くの人と会うことが増えるので、幅広い人脈を形成することができるのもフリーランスの魅力の一つです。人脈が拡大していくことで仕事を受注するチャンスが増えることはもちろん、仕事や人生で悩みを抱えてしまった時に適切なアドバイスをもらうことができるなど、人脈形成には様々なメリットがあります。

フリーランスとして活動するデメリット

フリーランスとして活動するデメリット

収入が安定しない

 仕事の量に関わらず毎月決まった額の給料を受け取れる会社員に比べると、フリーランスの収入は不安定であると言わざるを得ません。その分、大型の案件を受注した場合は納品後に数百万円クラスの報酬を手にすることもありますが、開発作業中は無収入になるなど收入の変動幅が大きくなりがちです。そのため、十分な蓄えがない場合は報酬が支払われる前に手持ちの現金が尽きてしまう、いわゆる「黒字倒産」に似た状況に陥ってしまうこともあるようです。

社会的信用が低め

 フリーランスは企業に比べると資本や人材数といったリソース面において圧倒的に不利です。企業ならば担当者が急な病気などで現場を離れることがあっても、別の担当者をアサインすることで仕事を円滑に回すことができますが、1人で働くフリーランスの場合はリカバリーが効かないこともあるため、クライアントも仕事を発注する相手を選定するにあたってフリーランスに対しては慎重になりがちです。また、前項でも触れた通り、フリーランスは收入が不安定なことから、賃貸住宅やクレジットカードの審査に落ちやすいなど会社員に比べて不利になりことがあります。

社会保険料は全額負担

 正社員として働いている時は、健康保険や厚生年金などの社会保険料を勤務先の会社が半額負担してくれていましたが、フリーランスとして独立すると全額負担しなくてはなりません。特に扶養対象となる家族がいる場合は、あなた1人分の保険料で扶養家族全員分の健康保険が提供されますが、フリーランスになると扶養家族の概念がなくなるため、家族全員分の保険料を支払わなくてはならなくなります。各種社会保険に関する詳細については、下記の記事もご参照ください。

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個人事業主のメリット

個人事業主のメリット

開業届けを出すだけなので法人登記に比べて手続きが簡単

 個人事業主になるには、国税庁のWebサイトから申請書をダウンロードして必要事項を記入の上で、最寄りの税務署に開業届を提出するだけでOKです。複雑な手続きが必要となる法人登記に比べるとはるかに簡単な手続きで完了します。個人事業主となることで、社会的な信頼がアップするだけではなく、税制上のメリットを受けることもできるようになりますので、できるだけ早めに開業届けを提出するようにしましょう。なお、開業届の記入方法や提出方法に関する詳細は下記の関連記事をご覧ください。

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開業届はいつ提出すればいいの?節税にも役立つフリーランスエンジニアのための開業届&青色申告承認申請ガイド

青色申告など税制上のメリットを受けられる

 開業届を提出して個人事業主になることで、確定申告時に年間10万円または65万円の特別控除が受けることができる青色申告が利用できるようになります。青色申告の特別控除をわかりやすく説明すると、所得税の対象となる収入を減らすことができる、つまり納める所得税の金額を減らすことができるということです。青色申告を利用するためには、複式簿記による帳簿付けが求められるなど、通常の確定申告(白色申告)に比べて煩雑な会計処理が必要となりますが、大きな節税効果が期待できますので、ぜひ対応しておきたいところです。

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フリーランスエンジニアの青色申告入門ガイド。節税するなら確定申告時に青色申告を利用するのがおすすめ。

赤字を最大3年間繰越できる

 確定申告を青色申告で実施することが前提となりますが、赤字を最大3年間繰り越すことが可能になります。例えば、開業初年度は独立にかかる各種費用がかさんだり、営業活動が難航して600万円の赤字だったとします。その後、事業が軌道に乗り、開業2年目~4年目までの3年間は毎年200万円の黒字だったとした場合、初年度に発生した600万円の赤字を繰り越すことが可能となり、開業2年目~4年目までの黒字額が初年度の赤字額と相殺され所得税を納める必要はありません。一方、通常の確定申告(白色申告)の場合は、前年度が赤字であったとしても、今年が黒字であれば前年の赤字額に関わらず今年の黒字額に基づいて所得税が発生します。

個人事業主のデメリット

個人事業主のデメリット

利益が増えてくると法人よりも税負担が重い

 個人事業主には給与という概念がないため、売上から必要経費を差し引いた金額が事業所得(≒収入)となります。つまり個人事業主としての活動が軌道に乗って収入が増えてくると、その分支払う必要のある所得税も高くなってしまいます。ご存知の通り、日本では所得税は累進課税方式が採用されており、所得が増えれば増えるほど税率がアップし、最大税率は40%にものぼります。一方で法人税は普通法人の場合、税率は最大でも23.2%となり、利益が大きくなると個人事業主として活動するよりも法人化したほうが節税することが可能です。実際にどの程度の利益から法人化を検討すべきかなどの詳細については関連記事をご覧ください。

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フリーランスエンジニアが会社設立(法人成り)するメリットとは? 期待できる節税効果や目安となる収入を公開!

決算タイミングが1月1日~12月31日で固定

 個人事業主の決算期は、毎年1月1日~12月31日まで、納税は3月15日までと決められています。これは、事業の業種やクライアント企業に都合で納税するタイミングが繁忙期と重なっていたとしても変更することは認められません。一方で、法人の場合は好きなタイミングで決算期を設定することができますので、閑散期に決算期を設定しておくことで、忙しい時期は仕事に集中して暇な時期に会計処理を行うといった柔軟な対応をすることが可能になります。

人材採用面で不利になりがち

 事業が拡大フェーズになり、従業員を募集することになっても個人事業主の募集には人材が集まらないことが多いようです。個人事業主でも社会保険を提供することは可能ですが、国の制度的には社会保険への加入が任意となっているため、どうしても求職者からのイメージが悪く、思うように応募者を集めることができません。従業員を雇用してくはならないほど事業が拡大している場合は、早めに法人化を検討したほうが良いでしょう。

まとめ

 今回は、フリーランスと個人事業主の違いについて見てきました。よく混同されることの多い両者ですが、前者は働き方そのものを表す言葉で、後者は税制上の区分を表す言葉であると最低限理解しておきましょう。

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