フリーランスエンジニアなら知っておきたい精算幅の基礎知識~上下割・中央値割・月額固定とは?

フリーランスエンジニアなら知っておきたい精算幅の基礎知識~上下割・中央値割・月額固定とは?

 今回は、フリーランスエンジニアとして案件を獲得する際にぜひ意識していただきたい「精算幅」と精算方法についてご説明していきます。サラリーマンとして働いていると耳慣れない精算幅という言葉ですが、フリーランスエンジニアとして働く上では必ず知っておいていただきたい言葉の一つです。

精算幅とは?

精算幅とは?

 フリーランスエンジニアの方が準委任型の業務委託で受注する案件の詳細には、必ず「精算幅(稼働時間幅)」という項目が記載されています。これは契約した金額を支払うために基準となる就業時間を表す言葉で、平たく言うと「この報酬を支払うので、これくらいの時間は働いてくださいね」という目安に使われるものと理解しておけば良いでしょう。ちなみに精算幅を利用することで、本来フリーランスエンジニアには存在しない有給休暇を擬似的に作ることもできます。詳細は関連記事をご参照ください。

→関連記事:
フリーランスエンジニアにも有給があるって本当?常駐型で働くなら知っておきたい「精算幅」とは?

▼単価と精算幅(稼働時間幅)の例

・単価 :85万円/月
・精算幅:140時間~180時間

 上記の例だと、月の就業時間が140時間~180時間の間に収まった場合、85万円が支払われるということになります。ここで気になるのが月間の就業時間が精算幅を下回る、もしくは上回った場合の報酬がどのように扱われるかという点です。特に年末年始や大型連休のある月などは稼働日数が少なくなりがちなので、1日8時間働いたとしても精算幅の下限に到達しない場合があります。一方、プロダクトリリース直前の繁忙期に残業を頼まれて、最終的な稼働時間が精算幅の上限を上回る可能性もあります。このような場合は、控除精算・超過精算という概念を使って報酬を算出することになります。

控除精算の例

 たとえば1月など年末年始休暇(1月1日~1月5日)と祝日(成人の日)により、稼働日数が17日の月があったとしましょう。毎日8時間稼働したとしても、月の稼働時間の合計は136時間となり、精算幅の下限が140時間の場合、4時間ほど稼働時間が不足することになります。

・契約単価:85万円/月
・精算幅 :140時間~180時間/月
・稼働時間:136時間
・控除精算対象分:140時間 – 136時間 = 4時間分

この場合、4時間分の報酬が契約単価の85万円から差し引かれることになります。
報酬の差し引き方法については複数の方式があるため、このあとの項目でご説明します。

超過精算

 稼働時間が精算幅の上限を超えた場合は、精算幅の上限と実際の稼働時間の差分を差し引いた分の報酬が増額されます。一般のサラリーマンで言うところの残業代にあたるもの、と考えると理解しやすいでしょう。

▼超過精算の例

月の稼働日数が20日であった時はリリース直前で忙しく、毎日10時間働いたとします。この場合の稼働時間は200時間となり、精算幅の上限が200時間であったとき契約している稼働時間よりも20時間多く働いたことになります。

・契約単価:85万円/月
・精算幅 :140時間~180時間/月
・稼働時間:200時間
・超過精算対象分:200時間 – 180時間 = 20時間分

この場合、20時間分の報酬が契約単価の85万円に上乗せことになります。
報酬の上乗せ方法については、控除精算とおなじく複数の方式があるため、このあとの項目でご説明します。

控除・超過精算に使われる3つの方法

控除・超過精算に使われる3つの方法

上限割

 上下割とは、毎月の契約単価を、控除する場合は精算幅の下限で、超過する場合は精算幅の上限で割って時間あたりの報酬を算出する方式です。稼働時間が精算幅に10時間満たなかった場合と、10時間超過した場合の例を使って実際の報酬額がどのようになるかを見ていくことにしましょう。

ー計算の前提条件

・契約単価:85万円/月
・精算幅 :140時間~180時間 

ー控除・超過時の時間単価

・控除精算の単価:85万円 / 140時間 = 6,071円
・超過精算の単価:85万円 / 180時間 = 4,722円

ー実際の計算例

・10時間控除精算される場合:
 →控除金額:6,071円 * 10時間 = 60,710円
 →報酬額 :850,000円 – 60,710円 = 789,285円

・10時間超過精算される場合:
 →超過金額:4,722円 * 10時間 = 47,220円
 →報酬額 :850,000円 + 47,220円 = 897,222円

中央値割

 中央値割とは、毎月の契約単価を控除・超過に関わらず精算幅の中央値で割って時間あたりの報酬を算出する方式です。上下割の時と同じように稼働時間が精算幅に10時間満たなかった場合と、10時間超過した場合の例を使って実際の報酬額がどのようになるかを☑していきます。

ー計算の前提条件

・契約単価:85万円/月
・精算幅 :140時間~180時間 

ー控除・超過時の時間単価

・控除精算の単価:85万円 / 160時間 = 5,312円
・超過精算の単価:85万円 / 160時間 = 5,312円

ー実際の計算例

・10時間控除精算される場合:
 →控除金額:5,312円 * 10時間 = 53,120円
 →報酬額 :850,000円 – 53,120円 = 796,880円

・10時間超過精算される場合:
 →超過金額:5,312円 * 10時間 = 53,120円
 →報酬額 :850,000円 + 53,120円 = 903,120円

月額固定

 この他に月額固定という考え方もあります。月額固定の場合は精算幅という概念自体が存在せずに、月に何時間稼働しても契約した報酬単価が固定で支払われるというものです。ただし残業が多い現場に参画する際に月額固定で契約してしまうと、働けば働くほど時給が下がっていくことになりますので、このタイプの精算方式を採用している現場に参画する際は月の平均稼働時間がどれくらいかを確認することをおすすめします。

上下割・中央値割・月額固定のどれが一番有利?

上下割・中央値割・月額固定のどれが一番有利?

 それぞれの現場の稼働時間によって若干変化はありますが、一般的は控除・超過の両方を同じ時間単価で精算される中央値割が有利になることが多いようです。ただし一日の稼働時間が少なく、また月間の稼働時間数も安定しているような現場では、祝日が多い月は精算幅を下回りやすくなるので、月額固定のほうが有利に場合もあります。

 契約内容で損をしないためには、実際に参画を検討する現場の稼働時間や休日の設定状況、精算条件の全てをよく確認した上で参画先を決定されることをおすすめします。

まとめ

 今回はフリーランスエンジニア初心者の方にために、精算幅と上下割・中央値割・月額固定などの精算方法について解説していきました。精算幅と精算方法はご自身が受け取る報酬額に直結するものなので、参画する案件を検討される際には必ず意識して確認をしておきたいところです。良い現場で気持ちよく働くためにも、今回の記事の内容はしっかりと把握しておくようにしましょう。

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