スマートフォンの普及によって様々な企業が自社サービスをアプリで展開するようになり、アプリ開発エンジニアの需要が高まっているのはご存知の通りです。以前はiOSやAndroidといったOSごとにアプリを開発することが主流でしたが、両OSに対応するアプリを素早く開発することを目的として、１つのソースで両OSのアプリを同時に開発できるフレームワークを採用する現場が増えています。今回は、そんなフレームワークの中からGoogleが開発した”Flutter”を取り上げ、Flutterがどのようなフレームワークなのかに関する解説や、フリーランスエンジニアの方向けの案件の相場感について解説していこうと思います。
Flutterとは
Flutterは、Googleによって2018年12月に発表されたオープンソースのフレームワークです。ひとつのコードでAndroid、iOSなどに対応するクロスプラットフォームのアプリケーションを開発することができます。
ひとつのソースコードですぐれたUIのAndroid・iOSアプリを開発可能
Flutterは”write once, run anywhere（一度ソースコードを書けば、どこでも実行可能）”という思想の元に開発されています。従来はiOSならSwift、AndroidならKotlinやJavaなどを使ってアプリケーションを開発することが求められていましたが、Flutterを利用して開発を行うことで作成したソースコードをiOSやAndroidに対応するようにFlutterが変換してくれるため１つのソースコードでiOS・Androidアプリを一気に開発することが可能になります（ただし、Flutterが提供していないOS特有の機能や複雑な機能を利用する際は、ネイティブ言語でコードを書く必要があります。全てのアプリ開発をFlutterで行える、というわけではないことにご注意ください）。
ホットリロードによる高速開発が可能
通常のアプリ開発では、ソースコードに変更を加えた場合、アプリを再実行する必要があります。アプリが複雑になればなるほど再実行までにかかる時間もかかるため、UIの色を変更したりテキストを修正するような軽微な修正でも確認までに時間が取られてしまいます。一方、Flutterを利用している場合はソースコードを書き換えた時点で変更が即座に反映されるため、従来に比べて高速なアプリ開発が可能となります。
軽快に動作する
Flutterはあらかじめ提供されているパーツ（ウィジェット）を組み合わせてアプリを開発します。デフォルトで提供されているパーツには、ナビゲーション、アイコン、スクロールなどアプリ開発で頻繁に使用されているものばかりです。これらパーツは、FlutterがiOSやAndroidのネイティブコードに変換されるため、Flutterで開発されたアプリはサクサクと軽快に動作します。
Flutterは”Dart”という言語で開発する
Dart（ダート、またはダーツ）は、2011年にGoogleによって開発されたWebアプリケーションを開発するためのプログラミング言語です。2018年頃までは様々な背景も手伝って人気の薄い言語として知られており、2018年には「学ぶ価値のないプログラミング言語ランキング」で１位に挙げられるなど冷遇され続けてきました。ですが2018年12月にFlutterの開発言語に採用されてからというもの、急速に世界中のエンジニアから注目を集めはじめ、一躍人気言語の仲間入りを果たしました。
Dartの特徴１：おなじみの文法で記述できる
Dartは、モダンな文法をサポートしているため、JavaやJavaScript、TypeScriptなどを習得している方ならば、習得までに時間がかかる時間は比較的短いと言えるでしょう。
Dartの特徴２：クラスベースのオブジェクト指向を採用
Dartは、クラスベースのオブジェクト指向を採用しているため、大規模なサービスやアプリケーション開発に適しています。
Dartの特徴３：パフォーマンスが高い
もともとJavaScriptのだいたい言語として開発された背景があるため、JavaScriptで解決できない問題点が解決できたり、パフォーマンスが高くなるように設計されています。
Dartの特徴４：セキュリティが強固
Dartで記述されたコードは、そのままVMによってコンパイルされて実行されるため、強固なセキュリティを確保しています。Javaのように中間コードが生成されることはありません。
Dartの特徴５：ただし日本語の情報が少なめ
Dartが注目されたのが2018年末以降のため、日本語化された情報が多くありません。何か困ったことがあった場合は、英語のドキュメントを自分で読んで解決方法を探る場面が多くなりそうです。
Flutterで開発されたアプリケーション
続いてFlutterを使って開発されたアプリケーションの事例を見ていきましょう。なお、ここであげている事例は、Flutterで開発したことを公式に発表しているものに限定しています。世界や日本の有名企業がFlutterを使ってアプリを開発していることからも注目度の高さが伺えると思います。
海外の事例
- Google：Google 広告（Google広告の入札調整や成果を確認）
- Grab：Grab Driver（ドライバーとして活動するためのアプリ）
- Philips：Philips Hue Bluetooth（同社のスマートライトを制御）
国内の事例
- ハウスマート：カウル（中古マンションの売買サービス）
- スタディプラス：ポルト（大学受験向け参考書読み放題サービス）
- Diverse：ユーブライド（婚活マッチングサービス）
フリーランスエンジニア向けのFlutter案件の単価は？
ここ数年注目を集めているFlutterですが、フリーランスエンジニアの方向けのFlutter案件にはどのようなものがあるのでしょうか。2021年11月現在、このブログを編集しているJobeetでは下記のFlutter関連案件を見つけることができました。
特に注目なのが「フードデリバリーアプリ開発」の案件で月間の報酬額は最大100万円とのことです。また案件参画の条件として「自己学習による開発経験でもOK」となっているなど、かならずしも実務経験が求められてないことからもFlutter人材が不足していることがわかります。すでにFlutterの経験があるフリーランスエンジニアの方にとっては、年収を一気にアップする大チャンスといえるでしょう。
非公開のFlutter関連案件も多数あり
Jobeetのコーディネーターに聞いてみたところ、ほかにも高額報酬が設定されている非公開のFlutter案件が多数あるそうです。クライアント企業との守秘義務があるため詳しいことについて、ここや案件検索結果に掲載することができないらしいので、Flutter案件に関する情報が欲しい方は、ぜひ一度JoBeetへ連絡をしてみてはいかがでしょうか？
→参考記事：ITエンジニアの平均年収はどれくらい？サラリーマンやフリーランスなど働き方別の年収差も調べてみた
まとめ
今回は、iOSとAndroidアプリを同時に開発することができるフレームワーク「Flutter」について見てきました。現在は企業からの需要の高さに比べて人材の供給量が圧倒的に不足している傾向が強いので、Flutterを扱えるエンジニアの方の価値は当面上がり続けることが予測されます。またFlutterは、JavaやJavaScriptを習得している方ならば比較的短時間で習得できるそうなので、素養がある方なら今からFlutterエンジニアを目指して高収入を実現することも可能だと思われます。
