ここ数年、大手企業以外でも利用が進んでいるクラウドサービス。
クラウドサービスと聞いて真っ先に思い出すのが、AmazonのAmazon Web Service(以下、AWS)、MicrosoftのAruze、GoogleのGoogle Cloudあたりではないでしょうか。2021年5月にシンガポールの調査会社”Canalys”の発表したデータによれば、これら3サービスが占めるグローバルクラウドにおけるシェアは約58%。その中でも最大のシェアを誇るのがAmazonの提供するAWSで、そのシェア率は全体の約32%にも及んでいます。
それゆえ、近年は日本国内でもAWSの設計・構築・運用・保守からアプリケーション開発を担当するAWSエンジニアの需要が高まっており、高収入が期待できる職種して注目が集まっています。今回は、AWSエンジニアが本当に高収入なのか、また高収入を実現するためにはどのようなスキルや働き方が求められるのかについてわかりやすく解説していきたいと思います。
もくじ
働き方別AWSエンジニアの平均年収をチェック!
最初にAWSエンジニアの平均年収について見ていくことにしましょう。
今回は、会社員として働く場合とフリーランスエンジニアとして働く場合を比較して、どちらのカ働き方が高収入を期待できるかについて確認していきます。
▼会社員として働く場合
エンジニアのスキルアップを支援するエージェント「ProEnginner」が2020年に発表した調査の結果によると、会社員として働く場合の平均年収は約580万円ほどです。この内、年間のボーナス支給月数を4ヶ月とすると平均月収は約36万円強となります。
ちなみに転職支援サービス「doda」が2020年12月に発表した「平均年収ランキング(職種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」によると、ITエンジニアの平均年収は452万円とのことですので、前評判通り、AWSエンジニアは一般的なエンジニアに比べて高収入が期待できる職種といえるでしょう。
▼フリーランスエンジニアとして働く場合
一方、フリーランスエンジニアとして働く場合の平均年収は約780万円(平均月額単価65万円で12ヶ月稼働できた場合の金額)となります。これは会社員として働いた場合の約1.4倍にあたる年収に相当します。ただし、フリーランスエンジニアとして働く場合、かならずしも年間を通じて案件を獲得し続けることがでる保障がないことなどのリスクが伴うことを考慮しておく必要があります。
フリーランスエンジニアの平均年収についてより詳しくお知りになりたいという方は「ITエンジニアの平均年収はどれくらい?サラリーマンやフリーランスなど働き方別の年収差も調べてみた」が参考になるかと思いますのでぜひご覧ください。
・参考文献:
ProEnginner「AWSエンジニアの年収事情をみてみよう【2020年版】」
https://proengineer.internous.co.jp/content/columnfeature/14634
doda「平均年収ランキング(職種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】」
https://doda.jp/guide/heikin/
AWSエンジニアが高収入を期待できる理由
前の項ではデータからAWSエンジニアは、平均的なエンジニアよりも高収入であることを見てきました。ここからは「なぜAWSエンジニアは高収入を得ることができるのか?」について考えていきたいと思います。
・AWSエンジニアの数が不足しているため
転職求人サイト「マイナビ転職」を調査してみたところ、2021年9月現在でインフラエンジニアの募集件数は約300件でした。その中でAWS関連の求人は約130件と全体の43%を占めています。つまりインフラエンジニア求人の多くがAWS関連なのです。このことから、企業側としてもAWSエンジニアの採用は優先的に解決したい課題であり、他の職種に比べて年収を高く設定してでもAWSエンジニアの採用を進めようとしていることがわかります。
AWSエンジニアの仕事内容は? 未経験から目指すことは可能?
さてAWSエンジニアが一般的なエンジニアに比べて高額な報酬を受取りやすい職種であることはわかりましたが、実際にAWSエンジニアとしてのお仕事内容はどのようなものなのでしょうか? また未経験の方がAWSを目指すことは可能なのかについてもお話していきたいと思います。
▼設計と構築
AWSのインフラを設計し、その設計書をもとにインフラを構築する仕事です。
主にWebサーバやDB、FTPなどを設計・構築することが多いようです。
▼運用
AWSインフラの運用・監視を行うお仕事です。
障害時の対応からOSのチューニングなど様々な分野を担当します。
▼開発
AWSを開発基盤としてアプリケーションの開発を行うお仕事です。
PHPやPython、JavaScriptなどが企業側で指定された言語を使用しますが、開発環境がAWSとなるのが特徴です。
▼AWSエンジニアとして採用されるための条件は? 未経験からでもAWSエンジニアになれる?
インターネットで公開されている求人を見てみると、AWSを業務で使用した経験に加えて、3~5年程度の開発経験を積まれたことがある方を募集されている企業を多く見かけました。AWS未経験の方でも応募できる案件が全くないわけではありませんが、プログラマーやインフラeエンジニアとしての業務経験を積まれている方でない場合はどうしても年収が低くなりがちなので注意が必要です。
AWSエンジニアの将来性は?
現在、オンプレミスの環境からクラウド環境への移行を進める企業が多く、AWSをはじめとするクラウドエンジニアの需要が非常に高まっている一方、このような特需は一時的なものであり、数年後にはクラウドエンジニアの需要が著しく低下するのではないかと心配されている方もいらっしゃるかもしれません。
しかしクラウド環境への移行が完了した後も、運用や各種開発案件がなくなることは考えられず、また一度移行したクラウド環境を別の環境にリプレイスするには大きなコストが必要となります。そのため、現状で業界シェアの高いAWSエンジニアの需要は今後も継続的に発生、もしくは拡大することが予想されます。
とはいえ今後の技術進化に伴い、AWSエンジニアに求められるスキルレベルが上がっていくことも同時に予想されます。長期に渡りAWSエンジニアとして活躍し続けるために、現状のスキルに満足することなく、勉強を続けご自身のスキルを磨き続けることが必要です。
AWSエンジニアとして年収1,000万円を目指すには?
最後に、皆さんが一番気になっている「AWSエンジニアとして年収1,000万円を達成する」のに必要なスキルやキャリアについてはまとめていきます。
・AWSエンジニアとして5年以上の経験を積む
インターネットネット上で公開されているAWSエンジニア向けの求人票や案件を確認すると、5年以上の実務経験がある方を対象に高収入のオファーが行われている傾向があります。もちろん5年間漠然と業務をおこなった経験があれば良い、というわけではなく、業務の中心的役割を担える技術力はもちろん、チームをまとめるマネジメント力やコミュニケーション力も求められます。
・フリーランスエンジニアとして経験を積む
活動開始時にある程度の技術力や経験があることが前提となりますが、フリーランスエンジニアとして様々な経験を積むことも年収1,000万円を実現するために有効なキャリアプランです。一つの企業の中で仕事をしていると企業独自のルールに縛られがちになるため、どうしても視点や知識に偏りが生まれてしまいます。一方、フリーランスエンジニアとして活動することで、様々な企業の案件に関わえることを通じて、企業勤めのAWSエンジニアに比べてスピード感を持ってスキル向上を実現することが可能となります。
まとめ
今回は、インフラエンジニアの中でも特に年収が高いことで注目されているAWSエンジニアについて調べてみました。急激なクラウドの普及により人材不足が不足しているため短期的に高収入に期待が持てるのはもちろん、今後もクラウドへの需要が継続して発生すると予測できることから、クラウドエンジニアは安定して高収入を手にすることができる職種です。その中でも特に高い業界シェア率を誇っているAWSに精通しているエンジニアは、多くの企業が欲している人材となっています。もちろん継続して高収入を得るためには、現状に満足せずに自らの市場価値を向上させるための取り組みが欠かせませんが、最終的に年収1,000万円を超えることも可能な「夢のある職種」であるといえるでしょう。
また20代後半~30代前半で年収1,000万円を目指すのであれば、フリーランスエンジニアとして活動するのも選択肢の一つです。豊富な業務経験と素晴らしい技術力のお持ち方で、高額年収を狙いたいと考えている方は、一度フリーランスエンジニアとして活動することを検討されてはいかがでしょうか?