一般的にエンジニアは年収の高い職種と言われていますが、それを実感できている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。確かに各企業が発表している調査を見てみると、エンジニアの給与は他の職種より高い傾向があるようですが、拘束時間の長さやストレスの高さを考えると一概に高いと言い切れない部分があるのは確かです。今回は、エンジニアの中でも高い報酬を手にすることができると言われているフリーランスエンジニアと、一般の会社員エンジニアの年収比較をはじめ、エンジニアが年収アップのために取り組むべきポイントについても説明していきたいと思います。
ちなみにITエンジニア全体の年収について詳しくお知りになりたい方は「ITエンジニアの平均年収はどれくらい?サラリーマンやフリーランスなど働き方別の年収差も調べてみた」で詳しく解説していますので、そちらをご参照ください。
もくじ
会社員エンジニアの年収は?

dodaが2020年12月に発表した「平均年収ランキング(職種別の平均年収/生涯賃金」によると「技術系(通信・IT)」系の職種についている方の平均年収は452万円とのことです。この中でも、最も平均年収が高いのが「プロジェクトマネージャー」の664万円で、ついで「プリセールス」の658万円、ITコンサルタントの584万円と続いています。
会社員エンジニアの性別/年収別平均年収
- 全体 452万円
- 男性 469万円
- 女性 395万円
▼職種別平均年収
職種 | 平均年収 | 男性 | 女性 |
プロジェクトマネージャー | 664 万円 | 690 万円 | 535 万円 |
プリセールス | 658 万円 | 691 万円 | 529 万円 |
ITコンサルタント | 584 万円 | 609 万円 | 511 万円 |
IT戦略/システム企画 | 575 万円 | 602 万円 | 470 万円 |
研究開発 | 544 万円 | 561 万円 | 441 万円 |
データサイエンティスト | 516 万円 | 528 万円 | 470 万円 |
システム開発/運用 | 473 万円 | 488 万円 | 422 万円 |
サーバエンジニア | 463 万円 | 478 万円 | 382 万円 |
ネットワークエンジニア | 455 万円 | 473 万円 | 358 万円 |
パッケージ/システム導入 | 452 万円 | 473 万円 | 397 万円 |
スマホアプリ | 443 万円 | 454 万円 | 404 万円 |
制御系ソフトウェア | 427 万円 | 445 万円 | 344 万円 |
Webサービス | 419 万円 | 432 万円 | 375 万円 |
SE/プログラマ | 417 万円 | 430 万円 | 382 万円 |
テクニカルサポート | 409 万円 | 431 万円 | 373 万円 |
運用/保守/管理 | 381 万円 | 388 万円 | 349 万円 |
デバック/テスター | 379 万円 | 387 万円 | 362 万円 |
ヘルプデスク | 349 万円 | 366 万円 | 320 万円 |
▼職種年代別平均年収
職種 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 |
プロジェクトマネージャー | 463 万円 | 669 万円 | 774 万円 | 849 万円 |
プリセールス | 469 万円 | 718 万円 | 858 万円 | 925 万円 |
ITコンサルタント | 471 万円 | 625 万円 | 787 万円 | 843 万円 |
IT戦略/システム企画 | 405 万円 | 546 万円 | 671 万円 | 749 万円 |
研究開発 | 414 万円 | 597 万円 | 767 万円 | 826 万円 |
データサイエンティスト | 434 万円 | 594 万円 | 743 万円 | 731 万円 |
システム開発/運用 | 382 万円 | 499 万円 | 572 万円 | 655 万円 |
サーバエンジニア | 384 万円 | 530 万円 | 637 万円 | 685 万円 |
ネットワークエンジニア | 376 万円 | 529 万円 | 615 万円 | 738 万円 |
パッケージ/システム導入 | 385 万円 | 524 万円 | 606 万円 | 654 万円 |
スマホアプリ | 373 万円 | 509 万円 | 725 万円 | 688 万円 |
制御系ソフトウェア | 346 万円 | 510 万円 | 604 万円 | 697 万円 |
Webサービス | 366 万円 | 486 万円 | 599 万円 | 562 万円 |
SE/プログラマ | 363 万円 | 486 万円 | 549 万円 | 588 万円 |
テクニカルサポート | 341 万円 | 421 万円 | 503 万円 | 604 万円 |
運用/保守/管理 | 334 万円 | 456 万円 | 549 万円 | 611 万円 |
デバック/テスター | 325 万円 | 407 万円 | 515 万円 | 624 万円 |
ヘルプデスク | 301 万円 | 375 万円 | 415 万円 | 549 万円 |
会社員エンジニアとして年収を上げるには?
前項でご紹介した職種別の平均年収からもわかるように、一般的に上流と呼ばれる分野、すなわちクライアントの業務を理解して経営課題や業務課題の解決に携わる役割を担う職種の年収が高い傾向にあります。会社員エンジニアとして年収をアップしていくには、上流工程を担える人材としてキャリアを積んでいくことが重要だと言えるでしょう。
フリーランスエンジニアの平均年収

続いてフリーランスエンジニアの平均年収を見ていくことにしましょう。SE HACKが2018年にフリーランスエンジニア100名を対象に行った調査の結果によると、年齢別の最高年収・最低年収・平均年収は以下のようになりました。
年齢別フリーランスエンジニアの平均年収
フリーランスエンジニアの場合25〜49歳で正社員の平均年収を大きく上回っており、20代後半においては同世代の正社員年収の約1.8倍になっています。また、最高年収においては30代後半から年収1,000万円に到達する方が出てきています。このことからわかるようにフリーランスエンジニアは若いうちから高額な報酬を手にすることが可能な働き方であるといえるでしょう。
年齢 | 最高年収 | 最低年収 | 平均年収 | 正社員平均年収 |
25〜29歳 | 900 万円 | 420 万円 | 696 万円 | 378 万円 |
30〜34歳 | 960 万円 | 420 万円 | 780 万円 | 475 万円 |
35〜39歳 | 1,080 万円 | 480 万円 | 816 万円 | 582 万円 |
40〜44歳 | 1,140 万円 | 660 万円 | 840 万円 | 635 万円 |
45〜49歳 | 1,080 万円 | 600 万円 | 876 万円 | 670 万円 |
50〜54歳 | 1,200 万円 | 540 万円 | 660 万円 | 690 万円 |
55〜59歳 | 1,200 万円 | 540 万円 | 600 万円 | 684 万円 |
フリーランスエンジニアとして年収を上げるには?
会社員エンジニアならば、会社からアサインされるプロジェクトをこなしていくうちに自然とスキルアップすることも期待できますが、フリーランスエンジニアの場合は自らキャリアプランを立てて着実に成長していく必要があります。ここでは経済産業省が定義している「ITスキル標準レベル」を例に、どのような人材になれば高収入を期待できるか見ていくことにします。
レベル1〜3までの平均年収アップ度合いは非常に緩やかですが、メンバーを指導できるチームリーダーレベル(プロジェクトリーダーレベル)になると一気に年収がアップすることがわかります。フリーランスエンジニアとして1,000万円を超える年収を手にしたいと考えるのであれば、自分自身の技術力を高めることはもちろん、チームを率いてプロジェクトを成功に導けるスキルを身につけることが重要です。
レベル | 平均年収 | 評価指標 |
レベル1 | 437.8 万円 | 新人・初級者レベル:仕事に慣れ始めたレベル |
レベル2 | 499.2 万円 | 上位者の指導のもとに仕事ができる:若手人材レベル |
レベル3 | 576.0 万円 | 独立して仕事ができる中堅人材レベル |
レベル4 | 726.1 万円 | 部下を指導できるチームリーダーレベル |
レベル5 | 937.8 万円 | 社内での指導者・幹部レベル |
レベル6 | 1,129.9 万円 | 国内で著名なレベル |
レベル7 | 1,129.9 万円 | 国際的に著名なレベル |
フリーランスエンジニアの働き方はさまざま

フリーランスエンジニアには大きくわけて2つの働き方があります。年収1,000万円を目指すにあたってそれぞれの働き方がどのようなものになるかを見ていくことにしましょう。
安定した収入を望むなら企業の常駐型
クライアント企業に常駐して客先の社員と一緒に働くタイプが「常駐型」です。一般的に月々の稼働時間によって報酬が決定されることが多く、年収1,000万円を目指すのであれば毎月の単価は最低でも90万円は欲しいところです。会社員エンジニアとの最大の違いは「企業に属しているかいないか」となり、社員ならば利用できる福利厚生がないかわりに、スキルに応じて高額な報酬が支払われることが特徴となっています。また参画するプロジェクトが長期に渡る場合は、半年〜1年といった長期契約を締結できることもあるので、安定した収入を得ることが可能です。
メリハリの効いた収入なら受託型
クライアント企業からシステムの全体もしくは一部を受注して、納品することで対価を得るタイプの働き方です。常駐案件の場合は、働いた時間に応じて報酬が支払われるのに対し、受注案件では成果物に対して報酬が支払われるため稼働時間が考慮されることはありません。非常に多様な働き方が可能となる受託型ですが、年収1,000万円を目指すのであれば、開発に必要な各種経費を考慮して四半期ごとに300万円以上の売上は確保しておきたいところです。受託型は開発スピードと成果物の品質に自信のある方向けの働き方で、複数の案件を並行して受注することで高額の報酬を手にすることができる一方で、成果物を納品するまでは収入がなくなってしまうため、安定を求める方よりもリスクを取ってでも多額の報酬を望む方向けの働き方といえるでしょう。
どちらの働き方も会社員エンジニアよりリスクが高い
常駐型、受託型ともに高額な報酬に期待ができる働き方ですが、フリーランスエンジニアは会社員エンジニアよりもリスクが高い傾向にあります。会社員エンジニアは、今後長期にわたって企業内で活躍することが求められるため失敗も成長の糧として許容されますが、フリーランスエンジニアの場合は「即戦力」と「結果」だけが求められます。もし自分の保有スキルやアウトプットがクライアント企業が求めるレベルや結果に満たなかった場合、継続して案件を獲得することが困難になりがちです。高額な報酬を得られる背景にこういったリスクが潜んでいることも十分に理解する必要があります。
まとめ
今回は、フリーランスエンジニアの方が年収1,000万円を目指すためのノウハウについてご紹介してきました。会社員エンジニアとして働く場合、年収1,000万円を達成できるのは企業でプロジェクトの重要なポジションを担う方以上であることが多いのに対して、フリーランスエンジニアであれば実力次第では20代後半からでも達成が見込める夢のある働き方であると言えます。一方で、会社員エンジニアに比べて責任が重く、継続して案件を獲得できなくなるリスクも潜んでいます。フリーランスエンジニアとして活動を検討される場合は、これらのリスクについても十分考慮した上で活動を開始するべきでしょう。