フリーランスエンジニアの源泉徴収をわかりやすく解説。計算方法から消費税の扱いも。

フリーランスエンジニアの源泉徴収をわかりやすく解説。計算方法から消費税の扱いも。

 フリーランスエンジニアとしての活動していると避けて通られないのが、各種税金に関する手続きです。会社員として働いているときは、気にすることのなかった税金にまつわるお話ですが、フリーランスエンジニアは知らないと損をしてしまうこともあります。今回は、そんな税金にまつわるお話の中でも、最も身近なものの一つである「源泉徴収」にスポットを当てて解説していきたいと思います。

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そもそも「源泉徴収」って何?

そもそも「源泉徴収」って何?

 源泉徴収とは、クライアントからフリーランスエンジニアに対して支払われる報酬に対して発生する所得税を、あからじめクライアントが報酬から天引きしてフリーランスエンジニアに代わって納税してくれる仕組みのことを指します。フリーランスエンジニアとして報酬を得ている場合、源泉徴収の対象となる報酬には、下記のようなものがあります。

  1. 原稿料や講演料、デザイン料など
  2. 弁護士、公認会計士、司法書士などの、特定の資格を持つ人に支払う報酬・料金
  3. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  4. プロ野球選手、プロサッカー選手、プロテニス選手、モデル、外交員などに支払う報酬または料金
  5. 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  6. ホテル、旅館などで行われる宴会などにおいて、接客業を行うホステスなどに支払う報酬や料金
  7. プロスポーツ選手の契約金など
  8. 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

 ここで注目しておきたいのが、「1.原稿料や講演料、デザイン料」などです。フリーランスエンジニアの場合、Webサイトなどのデザインがこれにあたりますが、Webサイトの制作自体(デザインをWebサイト上に表示させるためのプログラミングやHTML/CSS制作に関わる作業)は源泉徴収に対象とならないことに注意してください。この他にも源泉徴収の対象となる作業とならない作業がありますので、ご自身の仕事が対象になるか否かについて確認するようにしましょう。

源泉徴収の計算方法

源泉徴収の計算方法

 源泉徴収の計算方法は支払い報酬額が100万円以下か、それ以外によって変わります。

 1.支払い報酬額が100万円以下の場合
 (支払い報酬額) x 10.21%

 2.支払い報酬額が100万円を超える場合
 (支払い報酬額 – 100万円) x 20.42% + 102,100円

となります。なお、小数点以下の端数は2011年12月2日に公布された「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」に基づき、2037年12月31日までに発生した報酬に対して発生するもので、期間経過後は端数はカットされる見込みです。終了するのはしばらく先のことなので特に気にする必要はありませんが、端数の存在が気になった方は覚えておいてください。

源泉徴収と消費税の扱いについて

源泉徴収と消費税の扱いについて

フリーランスエンジニアも開業から3年目以降で年間1,000万円以上の売上がある場合は、1年に1度受け取った消費税額から経費として支払った消費税額を差し引いて消費税を納める必要があります。源泉徴収は原則して報酬だけでなく、報酬に付随して発生する消費税も対象となります。ここで注意しておきたいのが、報酬の本体価格と消費税の金額が分別されている場合は、消費税の金額を除いた報酬の本体部分の金額のみを源泉徴収の対象にすることが可能です。こちらの仕組みは少し複雑なので例を見ながら理解していくことにしましょう。

 1.報酬額10万円で請求書に記載されている金額が消費税込の金額の場合
 ・請求書記載の金額:110,000円
 この場合の源泉徴収額:110,000円 x 10.12% = 11,231円

 2. 報酬額10万円で請求書に記載されている金額が消費税別の金額の場合
 ・請求書記載の金額:報酬額→10万円、消費税→1万円 
 この場合の源泉徴収額:100,000円 x 10.12% = 10,120円

 フリーランスエンジニアの場合、年間の売上が1,000万円以下の場合や、開業から2年以内の場合は消費税を納める必要はありませんので、2.で処理したしたほうが入金される報酬額が少し増えることになります。もちろん、消費税を源泉徴収されてしまったとしても年度末に確定申告を行うことで税金を返してもらう(還付してもらう)ことは可能です。なお、消費税については2023年10月1日よりインボイス制度が導入され、適格請求書発行事業者以外が発行した請求書では仕入額控除を受けられないようになります。詳しくは「フリーランスエンジニアなら必ず知っておきたいインボイス制度をわかりやすく解説。」をご覧ください。

会計処理が面倒な方は、クラウド型会計ソフトを使うのがおすすめ

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 ここまで「源泉徴収」の基本的な考え方や税額の計算方法について見てきましたが、こういう計算は誰かにまかせてフリーランスエンジニアとしての仕事に集中したいと考えている方も多いのではないでしょうか? かつては税理士などに依頼するのが一般的でしたが、最近はクラウド型会計ソフトの普及により会計の知識がなくても質問に回答していくだけで、面倒な会計処理を代行してくれるサービスが多数あります。フリーランスエンジニアの方ならわずかな金額で利用することができますので、会計処理で外部サービスを利用されたいとお考えの方は下記サービスの利用を検討されてはいかがでしょうか?

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まとめ

 今回はフリーランスエンジニアにとって身近な税金にまつわるお話の中でも「源泉徴収」ついて見てきました。源泉徴収を正しく理解することで、正しく税金を納めることが可能になります。税金の処理は面倒なことも多く、ついつい後回しや避けてしまいがちになりますが、場合によっては納めすぎている税金が返ってくることもありますので、正しい知識を身に着けて適切に処理するようにしましょう

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